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請求・加算 公開日: 2026.08.08

初期加算の起算日は「契約日」ではありません

初期加算は、算定できる期間の数え方が独特です。 「最初に利用した日」から30日目までのうち、実際に利用した日にだけ算定します。 ここを契約日から数えてしまうと、算定漏れか過大請求のどちらかが起こります。

初期加算の起算日と算定期間を説明する記事の見出し画像

初期加算とは

初期加算は、利用者が事業所の利用を開始する際のアセスメント等に対して算定できる加算です。 新しく利用を始める方には、面談、聞き取り、個別支援計画の作成、通所の練習、 作業内容の見極めといった、通常の支援とは別の手間がかかります。 その立ち上がり期間の負担に対する加算だと考えると、後で出てくる制限のルールも理解しやすくなります。

起算日は「最初に利用した日」

つまずきやすいのがここです。起算日になるのは次のどれでもありません。

  • 契約書を取り交わした日
  • 受給者証の支給決定開始日
  • 利用者情報をシステムに登録した日

起算日は、その利用者が実際に初めてサービスを利用した日です。 契約から初回利用までに間が空くことは珍しくありません。 見学や体験利用を挟む場合、支給決定を待つ場合、本人の体調で開始が延びる場合。 いずれも、契約日と初回利用日は一致しません。

たとえば契約日が4月1日、実際の初回利用が4月10日なら、 起算日は4月10日です。4月10日を1日目として数え、30日目にあたる5月9日までが算定できる期間になります。

「30日分」ではなく「30日目までに利用した日」

もう一つの落とし穴が、期間の数え方と算定日数の関係です。 30日間まるごと加算が付くわけではありません。 その30日の間に、実際に利用した日にだけ算定します。

週3日利用の方であれば、30日間はおよそ4週と2日ですから、算定できるのは13日前後です。 週5日利用の方なら20日を超えることもあります。 同じ「初期加算」でも、利用者の通所頻度によって算定日数はまったく違います。

欠席した日には付きません。体調を崩して2週間休んだ方の場合、 その2週間は期間としては進みますが、算定日数には入りません。 期間の終わりが後ろにずれることもありません。

請求システムの「契約日」に何を入れるか

ここが実務上いちばん事故が起きるところです。 簡易入力をはじめとする請求システムは、多くの場合「契約日」の欄をもとに初期加算の起算日を判定します。 そのため、契約日の欄には契約書の日付ではなく、最初に利用した日を入れる必要があります。

契約書の日付をそのまま入れるとどうなるか、先ほどの例で見てみます。

  • 正しい入力(初回利用日 4月10日)… 算定期間は 4月10日〜5月9日
  • 誤った入力(契約日 4月1日)… 算定期間が 4月1日〜4月30日として扱われる

後者では、5月1日から5月9日までの利用日について、算定できるはずの初期加算を取りこぼします。 逆に、契約日が初回利用日より後になっているケースでは、 本来は算定できない日に加算が付いてしまい、過大請求になります。 こちらは返戻や過誤調整の対象になり、事務の手間としてはさらに重くなります。

取りこぼしのほうは請求額が減るだけなので、気づかないまま何年も続くことがあります。 利用者一人あたりでは小さな額でも、新規利用者が毎月あるなら年間では相応の差になります。

算定が制限されるケース

初期加算は「新しくアセスメントが必要になったこと」に対する加算なので、 実質的に新規の立ち上がりとは言えない場合には制限がかかります。 ここで注意したいのは、制限の種類が一律ではないことです。 まったく算定できなくなるものと、算定できる日数が減るだけのものが混在しています。

算定の対象にならないもの

  • 算定期間が終了した後に、同一敷地内の他事業所へ転所した場合。 「算定期間が終了した後」という条件が付いている点に注意します
  • 同一敷地内に併設する病院・診療所へ入院し、その後に再び利用を開始した場合。 30日を超える入院のあとに再度利用を始めたときは、原則として改めて初期加算の対象になりますが、 併設の病院・診療所への入院はこの例外にあたります

算定できる日数が減るもの

短期入所から退所した翌日に入所した場合など、日を空けずに移ってきたケースです。 このとき算定できなくなるわけではなく、 入所直前の短期入所の利用日数を30日から差し引いた日数が対象になります。 短期入所を5日利用してから移ってきたなら、残りは25日です。

ここを「算定できない」と覚えていると、本来請求できる日数をまるごと捨てることになります。

過去の利用歴による制限

過去3か月以内に同じ事業所を利用していた場合も算定できません。 ただし条文は「過去3月間に、当該指定障害者支援施設等に入所したことがない場合に限り算定できる」 という入所施設を想定した書き方になっており、 通所サービスへの当てはめ方は自治体の解釈を確認しておくのが安全です。

一度退所した方が数か月後に戻ってくるケースは実際にあります。 新規利用者の受け入れ時に、受給者証番号で過去の利用履歴を確認する手順を入れておくと、 判断に迷う場面が減ります。

受け入れ時に確認する3点

新規利用者を登録するとき、次の3つだけ押さえておけば初期加算まわりの事故はほぼ防げます。

  • 初回利用日が確定しているか。契約日で登録を進めない。 初回利用日が未定なら、確定してから登録するか、後で必ず直す
  • 過去に利用歴がないか。名前だけでなく、受給者証番号で確認する
  • 同一法人・同一敷地内の他事業所からの移動ではないか

月をまたぐときの注意

初回利用が月の後半だった場合、算定期間は必ず翌月にまたがります。 翌月分の請求を作るときには前月の新規利用者を意識しなくなりがちなので、 「先月の新規利用者が今月何日目まで対象か」を確認する手順を、月次の作業に入れておきます。

月をまたぐ利用者が複数いる月は、一覧にして確認するほうが確実です。 初回利用日と、その30日後の日付を並べておけば、当月に何日分が対象になるかはすぐ分かります。

手作業で管理する限界

ここまで書いてきたとおり、初期加算は 「利用者ごとに起算日が違う」「算定日数が通所頻度で変わる」「月をまたぐ」 という3つの条件が重なります。 利用者が数名のうちは手元の一覧で足りますが、新規の受け入れが続くと管理が追いつかなくなります。

Welsys Plus では、利用者ごとに開始日を登録すると、 その日を起点に対象期間内の利用日を拾って初期加算を計算します。 日数を数えるのも、月をまたぐ分を繰り越すのも手作業では行いません。 転所などで算定できない利用者については、登録時に「初期加算なし」を指定しておけば対象から外れます。

請求の精度は、月末にどれだけ丁寧に確認するかよりも、 利用者を登録する時点で正しい日付が入っているかで決まります。 初期加算はその典型で、登録時の1項目が年間の請求額を左右します。

この記事の内容について

本記事は制度の一般的な取り扱いをまとめたものです。 起算日と日数の数え方については、 「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う 実施上の留意事項について」に、 「サービスの利用開始から30日の間、加算するものであること。なお、この場合の『30日の間』とは、 暦日で30日間をいうものであり、加算の算定対象となるのは、30日間のうち、 利用者が実際に利用した日数となることに留意すること」と定められています。 就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型は、いずれもこの規定を準用します。

一方で、報酬改定によって要件や単位数は変わります。 また、算定が制限されるケースの当てはめ方は、事業所の種別や併設状況、自治体の解釈によって異なる場合があります。 実際の算定にあたっては、最新の告示・通知と、指定を受けている自治体の見解をご確認ください。

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